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『ディープインパクト
無敗の三冠馬の真実』
廣済堂出版＝2005年11月
島田明宏＝著
本体1400円＋税
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デビューから無敗のまま三冠馬となったディープインパクトと、その関係者の動きを追ったドキュメント。
――ディープの本をつくろう！
と動き出したのが05年ダービー終了後。確か、６月の半ばくらいだったと思う。
菊花賞の結果がどうあれ、とにかく本を出すことをまず決めてアポとりなどをはじめた。当初から、出版時期は11月上旬を目標にしていた。夏ごろから、それまでの取材で得た材料に加え、この本のための取材をして、コメントや雑感、データなどを集めるようになったのだが、そのころ、
「菊花賞直後に出版する予定です」
と取材対象の方々に言うと、やはり、と言うべきか、
「ずいぶん思い切った仕事をされますな〜」
とか、
「いや〜、プレッシャーだなあ」
と言われたり、ときには、しばし絶句されたりした。
競馬の文章を書くようになってしばらく経ってから、私は、ある特定の馬のファンになることができなくなっていた。その馬の走りに一喜一憂したのは、80年代後半に活躍したタマモクロスが最後だった。バンブーメモリーやオースミシャダイなどにも愛着を持ってはいたが、それはたまたま厩舎でふれることができ、キャラクターを愛らしく思い、身近に感じただけで、「ファン」というより「贔屓」だった。
ディープは、そんな私の胸のなかに、一頭のサラブレッドがただ立っているのを見るだけで嬉しいし、走るところを見たらドキドキ（本当はウルウル）してしまう……という気持ちがまだあるということを、その飛ぶような走りで気づかせてくれた。
「力」や「夢」「勇気」「誇り」など、いろいろなものをプレゼントしてくれた稀代の優駿を描き切れたかどうかはわからないが、力の及ぶ限り近づこうとした「答え」が本書である。
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