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『ウオッカ物語
競馬史に残る美しき名牝』
廣済堂出版＝2010年５月
島田明宏＝著
本体1500円＋税
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2007年、牝馬として64年ぶりに日本ダービーを制したウオッカ。
好敵手・ダイワスカーレットとわずか２センチ差の激闘を演じた2008年天皇賞・秋など、数々の名勝負の主役となり、2010年春、ドバイで現役を引退。アイルランドで繁殖牝馬として過ごすことになった――。
本書は、日本の競馬史に残る名牝・ウオッカが生産、育成されたプロセスや、牝馬でありながらダービー参戦に至った経緯などを追ったノンフィクションである。
これまでの自著は、雑誌に掲載したレビューを長くしたような書き方をしていた。要は、当時を回顧しながら、「実はあのときこういうことがあったんです」と関係者の証言を入れ込んで構成する形式。テレビのドキュメント番組でいうと、レースなどのＶＴＲ部分も、ゲストを招いてのスタジオ部分もある、というもの。
今回はそれをやめ、ＶＴＲのみの構成にした。つまり、関係者のコメントは、あとになってふり返ったものではなく、その時点でしゃべっているもの（＝セリフ）だけ、という形。
普通のレビューを書くのに比べると、倍、いや、３倍は時間がかかり、大変だった。複数の取材対象のコメントと事実関係をすり合わせ、いったん自分のなかで消化してから地の文に書き込んでいく……という作業だったので、なかなか前に進まなかった。が、書いたものを読み返してみると、我ながら愕然とするぐらい、苦労のあとがわかりにくい。肯定的な言い方をすると、サラッと読めてしまうのだ。
すべての写真にカメラマンのクレジットを入れ、キャプションをつけた。保存版、と言えるものに仕上がった。
四六判・並製（ソフトカバー）・256ページ
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